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EU、AI規制 大筋合意 世界初、26年にも実施


EU、AI規制 大筋合意 世界初、26年にも実施 人工知能(AI)規制法案のポイント
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 【ブリュッセル共同=桜山崇】欧州連合(EU)は9日、対話型人工知能(AI)「チャットGPT」など生成AIを含む包括的なAI規制法案に大筋合意したと発表した。早ければ2026年に実施の見通しで、世界初の包括的AI規制となる。違反には最も重いケースで3500万ユーロ(約54億円)か、年間売上高の7%と巨額の制裁金が科される。

違反に巨額制裁金
 EUが規制を急ぐ背景には、生成AIの台頭がEUの重視する人権や民主主義に与える負の影響への強い危機感がある。EUルールの世界標準化も狙う。
 先進7カ国(G7)は6日の首脳テレビ会議で、議長国日本が主導してきた生成AIの国際ルール枠組み「広島AIプロセス」に最終合意、「全ての関係者」が守るべき責務を定めた。これに対しEUの法案は制裁を盛り込み、強制力を持つ。
 EU全加盟国で構成する理事会と欧州議会、行政執行機関の欧州委員会の3者が6日から大詰めの協議を続けていた。今後数日で詳細を詰めるため、最終的な法案は内容が変わる可能性もある。
 欧州委は21年4月、AIのリスクの高さを4段階に分類し、リスクに応じて規制を設ける内容を含む法案を発表。その後の生成AIの発展を受け、画像がAIで生成されたことを明示したり、システム開発に使用した著作物を開示したりすることを企業側に義務付ける規制案も加わった。欧州議会が2年の協議を経て、今年6月に賛成多数で採択していた。
 3者協議では社会的行動や個人的特徴に基づくスコアリング(採点)の禁止で合意。加盟国の捜査当局による生体認証の使用を制限する一方で、テロ対策、人身売買や誘拐事件など特定の犯罪の捜査では例外的に使用を認めることになった。

 生成AI 利用者の指示や問いかけに応じ、大量のデータで学習した内容を基に文章や画像、音声などを作り出す人工知能(AI)。米オープンAIが開発した対話型の「チャットGPT」が知られている。手軽に使えるため利用が急速に拡大している。企業の生産性向上など幅広い分野で活用を期待できる一方、偽情報を作成して拡散したり、知的財産権を侵害したりする懸念がある。各国・地域の政府が開発や利用に関するルールの策定を急いでいる。