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中小賃上げ 最大45%減税/優遇上乗せ 大企業は35%


中小賃上げ 最大45%減税/優遇上乗せ 大企業は35% 賃上げ税制拡充の概要
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府は11日、与党の税制調査会の幹部会合で賃上げ税制の拡充案を示した。2023年度末の期限を3年延長した上で、女性活躍や子育て支援に積極的な企業への優遇上乗せを新設。中小企業は法人税から賃金増加額の最大45%を減税できるようにして、現行の最大40%から引き上げる。赤字などで納税していない場合は、現行制度では減税の恩恵が及ばないため、将来の黒字を見込んで減税の権利を最大5年繰り越せるようにする。
 大企業向けは要件を厳格化し、賃上げが3~4%台の企業の優遇水準を引き下げる一方、7%以上の大幅な賃上げをした企業の控除率は現行の最大30%から35%に引き上げる。ただ現行制度では大企業に区分される企業のうち、従業員数が2千人以下などの条件に当てはまる場合は「中堅企業」とする区分を新たに設け、大企業より緩やかな厳格化にとどめる。今月中旬に決定する24年度税制改正大綱に盛り込む。
 一方、防衛力強化のための増税の開始時期については、大綱への明記を見送る。自民党の宮沢洋一税調会長は11日、記者団の取材に「今年決めて来年の国会で議論するのは難しい」と表明。25年の増税開始はきわめて困難だとの認識も示した。
 現行の賃上げ税制は、中小企業が1・5%以上の賃上げをした場合、法人税から賃上げ額の15%を原則控除できる。賃上げ率が2・5%以上なら控除率は30%が原則で、教育訓練費を一定以上増やせば10%上乗せできるため、控除は最大40%だったが、新たに女性活躍や子育て支援に積極的な企業に5%の上乗せを設けるため、最大45%に拡充される。
 新たな上乗せは大企業や中堅企業も対象で、厚生労働省が女性活躍の優良企業を認定する「えるぼし」や、子育ての支援に取り組む企業を認定する「くるみん」などの制度に基づき判断する。大企業では賃上げ率に応じて原則の控除率が見直され、現行の15%と25%の2段階から10~25%の4段階に厳格化されるが、上乗せ分も含めれば最大30%から35%に上がる。