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農地所有企業、出資緩和/転用制限、来年法改正目標


農地所有企業、出資緩和/転用制限、来年法改正目標 農地所有適格法人への出資イメージ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 農林水産省が農地規制に特例を設け、農地を所有する「農地所有適格法人」に企業が出資できる割合の引き上げを検討していることが11日分かった。農業関係者の出資割合を過半としている現行要件を3分の1超に緩和し、農業関係者以外の食品事業者や地方銀行ファンドについては3分の2未満まで出資できるようにする。特例適用法人の農地転用は厳格に制限する方針だ。
 農地の受け皿となる同法人の資本を強化するとともに、食品事業者や地銀が持つ経営ノウハウを活用して農産物の販路開拓につなげるのが狙い。与党との調整を経て、2024年の通常国会で農地法の改正を目指す。農家と食品メーカーの連携が今後各地で広がる可能性がある。
 特例を申請できるのは、認定農業者として地域で営農実績がある農地所有適格法人に限定する。同法人と農業上の取引実績があることを条件に、食品事業者や地銀ファンドに特例枠を使った出資を認める。
 これら以外の一般企業による出資も従来通り可能だが、農業関係者と食品事業者・地銀ファンドの出資割合が合計で過半を占めることを義務付ける。このうち農業関係者については3分の1超の議決権を維持し、農地の転用や取締役の選任・解任といった特別決議で引き続き拒否権を行使できるようにする。
 農地の転用は農業生産の拡大・改善用途に制限し、ホテルなどへの転用は認めない。
 農業関係者らの懸念に配慮し、特例適用や経営計画を国が審査して監視を強化。農地の不適正利用があった場合は、是正指示を出したり特例認定を取り消したりできる仕組みとする。