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「減資1億円」課税も /政府最終調整 新規企業対象


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府、与党は11日、都道府県が資本金1億円超の企業に課す外形標準課税の見直しに向け、最終調整に入った。
 将来の課税逃れを抑止するため、企業が1億円以下に減資しても「資本金と資本剰余金の合計が10億円超」であれば課税を続ける。新基準導入前に減資した企業は、対象にしない。関係法を2025年4月に施行する。
 複数の関係者が明らかにした。
 「駆け込み減資」による課税逃れを防ぐ仕組みも設ける。
 同税を巡っては、総務省が減資時期を問わず、資本金と資本剰余金の合計が50億円超なら課税するべきだと主張。経済界を背負う経済産業省は、中小企業も課税される恐れがあると反対し、調整が続いていた。
 見直し案は経済界に配慮し、新基準の導入前に減資していた企業を対象から外す。その代わり、資本金と資本剰余金の合計は10億円超とし、総務省案の50億円超より該当企業数を増やした。今後は減資による課税逃れが難しくなりそうだ。
 一方で新基準導入前に減資した企業は、増資しない限り、再び課税対象になることはない。公平性や自治体税収の安定確保の観点からは、課題が残った。
 外形標準課税は利益ではなく、規模に応じて課すため、赤字でも徴収される。対象企業は21年度に約2万社。
 経営の苦しさから減資に踏み切るケースが相次いでおり、06年度の3分の2に減っている。