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減税拡充で賃上げ促進/税制改正/中小企業最大45%に/大企業は要件厳格化


減税拡充で賃上げ促進/税制改正/中小企業最大45%に/大企業は要件厳格化 賃上げ税制拡充の概要
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 2024年度の与党税制改正大綱は、岸田文雄首相の肝いりの所得税と住民税の定額減税や賃上げ税制の拡充が柱となった。物価高の逆風の中、経済の好循環実現を狙う。
  (3面に関連)
 岸田政権が重視する賃上げを企業に促すため、一定水準以上の賃金増加を実現した企業を対象とする法人税減税制度に関し、2023年度末の期限を3年延長した上で拡充する。中小企業は賃金増加額の最大45%を減税できるようにし、現行の最大40%から拡大する。
 現行制度は、中小企業の場合、賃上げ率が2・5%以上なら控除率は30%が原則だ。教育訓練費を一定以上増やした場合に10%上乗せでき、控除は最大40%となる。拡充後は、女性活躍や子育て支援に積極的な企業に5%を上乗せする仕組みも設けるため、控除率は最大45%になる。
 大企業は要件を厳格化する。賃上げ率を4段階に分け、3~4%台の場合の優遇水準を引き下げる一方、7%以上の企業の最大控除率は現行の30%から35%に引き上げる。大幅な賃上げを企業に促したい考えだ。現在は大企業に区分される企業のうち、従業員数が2千人以下などの条件に当てはまる場合は中堅企業とし、大企業より緩やかな条件とする。
 赤字などで法人税を納めていない場合は減税の恩恵が及ばないため、中小企業は減税の権利を最大5年まで繰り越しできるようにする。黒字化後などに優遇のメリットを得られるようにして、業績が厳しい中でも賃上げを促す環境を整える。