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国の指示権、拡充答申 地制調 災害や感染症危機備え


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 首相の諮問機関、地方制度調査会(地制調)は15日の総会で、大規模災害や感染症危機などの非常時に備え、自治体に対する国の指示権を拡充するよう求める答申を決定した。新型コロナウイルス禍で行政が混乱したのを教訓にした。近く岸田文雄首相に手渡す。政府は2024年の通常国会に地方自治法改正案を提出する予定。
 指示権拡充を法制化すれば、自治体への統制が強まる恐れがある。総会に出席した全国知事会副会長の平井伸治鳥取県知事は、地方の意見を聞く場を設けた上で法案を作成するよう訴えた。自民党の赤間二郎衆院議員は、指示権を発動できる要件を、さらに明確化する必要があると指摘した。
 国の指示権は現状、感染症法など個別法に規定があれば行使できる。違法な事務処理をした自治体にも自治法に基づき是正を指示できる。答申は、この二つに該当しなくても「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が起こり、国民の生命、財産の保護が必要な場合」には、指示を出せる新ルールを自治法に明記すべきだとした。
 国の権限強化を懸念する自治体側に配慮し、11月にまとめた素案を一部修正。指示権の発動前には国と自治体間で十分に協議や調整をするべきだとの文言を追加した。
 答申の作成は、有識者18人でつくる専門小委員会が主導した。総会には、地制調委員を務める地方6団体の代表と与野党の国会議員も出席した。