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予期せぬ妊娠「社会問題」 内密出産 熊本市長、国に制度化要請


予期せぬ妊娠「社会問題」 内密出産 熊本市長、国に制度化要請 ドイツの妊娠葛藤相談所を視察する熊本市の大西一史市長(右から2人目)=10月(市提供)
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 熊本市の大西一史市長は15日までに、同市の慈恵病院が導入し、病院以外に身元を明かさない「内密出産」を巡り、法整備が進んでいないことについて「望まない妊娠が社会課題として捉えられていない」と指摘し、相談体制の充実や、子どもの知る権利の保障を含めた制度化を改めて国に求める考えを示した。共同通信のインタビューに応じた。
 大西市長は10月、2014年に内密出産を法制化したドイツを視察した。妊娠葛藤相談所が約1600カ所あり、出自情報は国の機関が保管している。「身近で相談でき、母子の安全を守る取り組みが整えられている」とした。
 日本では昨年、国が内密出産の指針を策定したが、出自情報の管理や開示方法などを医療機関に委ねた。今後、内密出産が広がれば、対応が分かれる可能性もあり「(出自を知る)権利を行使できない事態になりかねない。現場での運用には限界がある」と懸念を示した。
 大西市長はまた、生殖から人権まで幅広く学ぶドイツの包括的性教育について「パートナーを大切に思い、避妊など具体的な行動につながっている」と評価。一方、日本では性に関し「オブラートに包む傾向」があり、若年層の望まない妊娠は「性への理解や知識の不足が大きいと思う」と指摘。どういう性教育の在り方が必要か検討し、国にも要望したいと述べた。