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米で日本語教育後押し/両政府合意 教員急減防止へ


米で日本語教育後押し/両政府合意 教員急減防止へ 米国での日本語教員の年齢構成
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【ワシントン共同】日米両政府が新たに合意した教育分野の包括的な協力強化策が14日、判明した。米国で教員数の急減が懸念される日本語教育を両政府が後押しすることや、日本でのハイテク人材育成、理系研究者の留学支援など幅広い施策を盛り込んだ。国際的に活躍できる人材の開発に協力して取り組み、競争力向上や息の長い関係強化につなげる。
 両政府高官による教育政策対話が米ワシントンで10月に初めて開かれ、双方の優先課題を協議した。合意内容を最終調整しており、近く公表する。
 日米両政府は今回、米国が「重要言語」と位置付ける言語の中でも日本語を優先的に扱い、米国の学生の学習機会を広げることを確認。国際交流基金の事業を拡充し、米国の教育機関に派遣する若手日本語教員も増やす。日本の教員免許が優遇される米国内の地域情報などを公開し、日本人教員が米国へ移住しやすくする。日本側はビザ(査証)緩和も求めている。
 協力強化策では人文・社会科学分野を主眼とする米国のフルブライト奨学金を科学系にも拡大。熊本大(熊本市)の半導体人材育成の新規プログラムを支援するため英語教育コースを試行的に始める。コロナ禍で滞った大学間の交流事業を促す。
 米国での日本語教育は、知日派と呼ばれる外交官や研究者らを輩出する素地ともなってきた。
 一方、国際交流基金によると、米国で日本語を教える教育機関は2021年度に1241カ所で、18年度に比べ14%減少。日本語教員は中高年が大半を占めており、年齢を理由とした退職が将来的に相次ぐ可能性がある。安定的な日本語教育に欠かせない人材が不足すれば、日本語学習の地盤沈下にもつながりかねないとの懸念もある。
 教育政策対話は今年5月、当時の永岡桂子文部科学相とブリンケン国務長官が広島市で会談し、創設を決めた。