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格差解消 成長のカギ 働きやすさ重視/能力で抜てき 東京でジェンダーシンポ


格差解消 成長のカギ 働きやすさ重視/能力で抜てき 東京でジェンダーシンポ 東京都内で開かれたシンポジウム「地域からジェンダー平等を」=11日
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 ジェンダー平等が進まない現状を足元から変えようと、地域の課題や企業の役割を考える共同通信社主催のシンポジウム「地域からジェンダー平等を」が11日、東京都内で開かれた。「個性や能力を発揮できる機会や環境を」。登壇した経営者らの報告から、多様性を尊重して格差を解消し、人口減や経済衰退といった課題解決につなげる手がかりが見えた。
 「必要に迫られトライアンドエラー(試行錯誤)を繰り返してきた」。愛知県瀬戸市に本社を置く大橋運輸の鍋嶋洋行社長は、10年来取り組む自社の「ダイバーシティー(多様性)経営」を振り返った。競争が激しい業界で採用が課題になると判断。働きやすい環境づくりに着手した。
 その結果、短時間勤務の女性管理職が相次いで誕生。障害者や性的少数者、外国人の社員が活躍し、遺品整理などの新たな事業が生まれた。今では求人に県外からも応募が来る企業に成長。交通安全教室など地域活動にも関わる。「地域に貢献できる人材を蓄えたい」と意気込んだ。
 化粧品大手ポーラの及川美紀社長は、各地で販売を委託する個人事業主の女性らを紹介。経済的に成功するだけでなく、顧客のネットワークからひとり親や貧困など女性の課題を吸い上げ、行政に働きかけるなど、地域貢献の取り組みがいくつか生まれているという。
 社内では、各地の事業区を束ねるリーダー職の選抜方法を改革。上司の推薦ではなく、業績や現場の評価など能力要件を言語化・数値化し、年齢や経験に関係なく抜てきした結果、女性リーダーが増えたといい「地域で成長できるロールモデルを見せてくれた」と語った。