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食料安保2新法提出へ 緊急増産、スマート農業支援


食料安保2新法提出へ 緊急増産、スマート農業支援 食料安全保障強化に向けた新法・法改正案
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府が食料安全保障の強化に向け、2024年の通常国会に、新たな二つの法案を提出する方向で調整していることが、18日分かった。
 食料危機時に農家や企業に生産・輸入の拡大を緊急要請するための法案と、先進技術を導入して生産性を高めるスマート農業を支援する法案を準備。食料・農業・農村基本法など複数の法改正も行い、食料安定供給と農業の基盤強化に本格的に取り組む。
 今月末に食料安保強化政策大綱の改定と併せ、農業施策の工程表を示す。法整備のスケジュールに加え、25~29年度の次期食料・農業・農村基本計画を25年春ごろ策定する方針も盛り込む。
 「農政の憲法」と呼ばれる基本法は1999年の施行以来、初の改正となる。地球温暖化やロシアのウクライナ侵攻などで浮かび上がった課題を踏まえ、食料安保の考え方や事業者・消費者の役割を明確にする。
 食料危機対応の法案は危機の度合いを、平時から最低限必要な食料が不足する場合までの4段階で想定。首相トップの政府対策本部を設置し、カロリーの高い穀物への作物転換や食料供給計画の策定を民間事業者らに求める規定を設ける。
 スマート農業支援の法案では、農家や企業などが生産性向上につながる機械を購入した際に税負担を軽くする措置を盛り込む。
 このほか特定農産加工業経営改善臨時措置法を改正し、小麦や大豆の加工業者を支援する。輸入依存を抑えるのが狙いで、国産利用を拡大するための設備投資を行う中小企業に長期低利融資を行う方向だ。
 農地の確保と適正利用に向け、農地法と農業振興地域整備法なども改正する。農地所有法人への農業関係者以外の出資に特例を設け、食品事業者や地方銀行ファンドに3分の2未満までの出資を認める。一方、土地の用途が厳しく制限されている「農用地区域」を自治体が変更する手続きへの国の関与を強める。