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国債費過去最大へ 24年度 25・2兆円から上振れ 金利上昇、兆円単位で増加も


国債費過去最大へ 24年度 25・2兆円から上振れ 金利上昇、兆円単位で増加も 財務省の想定金利と国債費の推移
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府の2024年度当初予算案で、国の借金である国債の返済費と利払い費を合わせた国債費が過去最大だった23年度当初の25兆2503億円を上回る見通しとなったことが18日、分かった。国債発行残高の拡大に加え、日銀の金融政策修正を背景にした金利の上昇基調を受け、利払い費の算出に使う想定金利を23年度の1・1%から引き上げることが響く。想定金利の引き上げは17年ぶりで、国債費は兆円単位で増える可能性がある。
 政府は22日の予算案の閣議決定を目指し、編成作業は大詰めを迎えている。防衛費や社会保障費も増える方向で、利払い負担の増加が懸念される中でも歳出を税収で賄いきれず、さらなる国債発行に頼る財政構造が続く見通しだ。
 国債費は、国債残高の膨張が続く中、当初予算ベースでは23年度まで3年連続で拡大。23年度は歳出総額の2割超を占めた。普通国債の残高は今年9月末時点で1027兆4129億円に達しており、返済費と利払いが重くのしかかる。
 想定金利の引き上げは日銀のゼロ金利政策解除を背景に2・0%から2・3%に変えた07年度以来となる。17年度以降は過去最低の1・1%が続いてきたが、今年8月末の24年度予算の概算要求では、想定金利を1・5%とし、国債費は23年度当初比2兆8921億円増の28兆1424億円、うち利払い費は1兆849億円増の9兆5572億円と見込んでいた。
 財務省の査定を経て作成する予算案でも想定金利は引き上げとなる方向。日銀が7月の金融政策決定会合で長期金利の上限を0・5%から1%に引き上げ、10月に1%から「1%をめど」に再修正したことを踏まえ、引き上げ幅を検討する。
 国債の想定金利 翌年度の予算案を作成する上で、どのくらいの国債の利払い費が必要になるか、見積もるために財務省が仮置きで想定する長期金利。主に10年物国債の金利を指す。市場金利が上昇して利払い費が増える場合に備え、実勢よりも高めの金利を想定し、余裕を見込んで決めている。想定金利は2017年度以降、1・1%が続いていた。