有料

3割アップ「大きい」 郵便値上げ案  経営努力求める声も


3割アップ「大きい」 郵便値上げ案  経営努力求める声も 郵便事業の収支試算
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 総務省が手紙の郵便料金値上げ方針を示した審議会では、燃料費や人件費の上昇からやむを得ないとの声が多かった一方、3割の値上げは大きいと厳しい見方も出た。日本郵便に一層の経営努力を求める意見もあった。 (26面に関連)
 25グラム以下の手紙が110円、はがきが85円になればいずれも値上げ率は3割を超える。委員で消費生活コンサルタントの三浦佳子氏は「たくさん手紙を出す人もいる。国民感情からすると値上げをしていない期間が長いとはいえ3割アップは大きい」と指摘。「納得したと簡単に言って良いのか迷いはある」と語った。
 東大大学院の巽智彦准教授は「作業の機械化やIT化など全般を見直すことが必要だ」と日本郵便に注文した。政府が行政手続きのデジタル化を進める以上、郵便への影響は避けられず「国が郵便事業をどう進めていくかを示す必要がある」(藤沢久美国際社会経済研究所理事長)との主張も聞かれた。
 ファクスを経て電子メール、交流サイト(SNS)と電子化の波に押されて手紙が減るのに伴い日本郵便はこれまでも人件費を削減してきた。だが燃料費上昇など物流業界共通の課題に直面、料金見直しを迫られた。
 総務省は値上げ後の収支改善に悲観的だ。試算によると郵便事業は値上げにより2025年度、いったん67億円の黒字へ浮上するが、26年度に再び400億円の赤字に沈み、以降は赤字幅が拡大していく。再値上げが現実味を帯びそうだ。