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予算2年連続110兆円超 来年度案 予備費減 12年ぶり抑制


予算2年連続110兆円超 来年度案 予備費減 12年ぶり抑制 国の一般会計当初予算案の推移
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府は19日、国の2024年度予算案の編成で、一般会計の歳出(支出)総額を110兆円超とする方向で調整に入った。借金の返済や利払いに充てる国債費と医療、介護などの社会保障費が増える。一方、新型コロナウイルス禍や物価高への対応で用意した予備費を削減し、過去最大だった23年度の114兆3812億円からは抑制する。12年度以来、12年ぶりに前年度を下回るが、2年連続で110兆円を超える巨額予算が続く。
 鈴木俊一財務相と各閣僚が重要事項の取り扱いを決める「閣僚折衝」を19、20日に実施して予算案を固め、22日に閣議決定する。「コロナ禍で膨張した歳出を平時に戻していく」とする政府方針に沿って歳出抑制にかじを切る。しかし、歳入(収入)は税収だけで賄えず、新たに多くの国債を発行する。財政悪化に歯止めがかからない。
 国債費は23年度の25兆2503億円を上回って過去最大となる見通しだ。日銀の金融政策修正に伴う金利の上昇基調を反映する。社会保障費は23年度の36兆円台から37兆円台に増える。高齢化に伴う自然増は、夏の概算要求段階で見込んでいた5200億円を、医薬品の公定価格「薬価」の引き下げなどで圧縮し、3700億円とする。
 予備費は国会審議を経ずに内閣の裁量で使途を決められ、23年度はコロナ禍や物価高対応などとして計5兆5千億円を用意した。24年度予算案で1兆円以上の削減を検討している。複数年度にわたる防衛費をためておく「防衛力強化資金」への繰り入れがなくなることも歳出抑制に寄与する。
 鈴木氏と斎藤健経済産業相との閣僚折衝では、次世代太陽電池や洋上風力発電など脱炭素分野の設備投資を支援するため、1749億円を計上することで合意した。