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公取委、損保4社立ち入り カルテル疑惑、排除命令も


公取委、損保4社立ち入り カルテル疑惑、排除命令も 公取委の審査対象となった損保大手4社の取引先
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 企業や自治体向けの保険でカルテルを結んだとして、公正取引委員会は19日、独禁法違反(不当な取引制限)の疑いで損害保険大手4社などを立ち入り検査した。違反行為が確認されれば、排除措置命令などの行政処分を検討する。関係者への取材で分かった。審査対象の取引先は先行して任意調査していた2社を含め、8社・団体に拡大。公正な取引を阻害する行為は業界で広く行われていたとみられ、公取委は、実態解明には強制力のある立ち入り検査が必要と判断したとみられる。
 関係者によると、立ち入り検査を受けたのは、東京海上日動火災保険と損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険の本社や保険代理店2社など計22カ所。カルテルの疑いは、主に複数の損保でリスクを引き受ける「共同保険」と呼ばれる契約形態で浮上している。
 損保各社は、私鉄大手京成電鉄▽石油元売り大手コスモエネルギーホールディングス、コスモ石油▽電機大手シャープ▽発電会社JERA(ジェラ)▽エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)向けの共同保険で保険料を事前調整。単独契約でも、JOGMECとの取引の一部と、東京都が実施した公用車の自動車保険などの入札で、受注者を決めていた疑いが持たれている。
 各社は遅くとも2013年以降、事前調整を始めたとみられ、それぞれの取引先から年間5億~80億円の保険料を受け取っていたという。
 公取委は8月、東急グループ向けと、「仙台国際空港」の契約を対象に任意調査した。この2社との取引も、立ち入り検査の対象と同様の審査に切り替えるもようだ。