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診療報酬マイナス改定/介護福祉サービスは増


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府は20日、医療機関の収入に当たる診療報酬の2024年度改定で全体をマイナス、介護と障害福祉サービスの報酬はプラスにすると決めた。社会保障費の伸びは、夏の概算要求時の約5200億円から1500億円前後圧縮し、約3700億円とする。年末の予算編成の焦点となっており、鈴木俊一財務相と武見敬三厚生労働相が閣僚折衝で合意した。政府は社会保障費抑制で少子化対策の財源を捻出する。

 24年度は6年に1度、医療、介護、障害福祉の3報酬を同時に見直す「トリプル改定」の年に当たる。社会保障費は30兆円を上回り、国の一般会計総額の約3割を占める。医療、介護従事者の賃上げを重視した半面、社会保障費の伸び抑制は例年並みとなり、踏み込み不足になった形だ。
 診療報酬のうち、医師や看護師らの人件費などに相当する「本体」部分を0・88%(約800億円)増やす。薬の公定価格「薬価」は1・00%(約1200億円)下げる。当初は0・96%減の方針だったが修正した。本体と差し引きして全体では0・12%のマイナスとなる。
 介護報酬は1・59%、障害福祉サービス事業所の報酬は1・12%、それぞれ引き上げる。
 診療報酬の本体と介護報酬のプラスで看護、介護職員らの賃上げを促す。ベースアップについて24年度に2・5%、25年度に2・0%行う原資を確保できるよう事業者を支援。
 特許切れ先発医薬品に患者の窓口負担を増やす仕組みを導入。安価な後発品(ジェネリック医薬品)との差額の25%を公的医療保険対象から外し、自己負担とする。後発品普及で医療費を抑制。
 政府は一連の改革で23~24年度に社会保険料負担を約3300億円軽減できるとした。少子化対策財源の捻出のため、26年度から公的医療保険料に上乗せし「支援金」を徴収する方針。支援金徴収額は社会保険料の負担軽減の範囲内で決める。
 介護保険サービス利用で自己負担2割の人の拡大は先送りし、27年度の前までに結論を出す。