国民が負担する医療などの社会保険料は、2023~24年度に総額100億円程度増加する見込みであることが22日分かった。政府は歳出改革で「約3300億円軽減できる」と説明するが、実際は医療、介護従事者の賃上げなどに伴う保険料上昇分約3400億円を除いて計算した数字を公表していた。負担を意図的に少なく見せようとしたとの批判が出る可能性がある。
武見敬三厚生労働相が同日の記者会見で、こうした計算方法を認めた。
岸田文雄首相は少子化対策財源確保で「追加負担を生じさせない」と説明。政府は公的医療保険料に上乗せする「支援金」制度を設ける方針で、上乗せ額は歳出改革で保険料を軽減できた範囲内にするとしてきた。賃上げの影響を無視して保険料の軽減額を大きく示すことで、支援金を徴収しやすくしようとしたとみられる。
会見で武見氏は、医療や介護分野で賃上げが必要として「(賃上げによる保険料への影響は)計算しないという整理の仕方をした」と述べた。
武見氏は、鈴木俊一財務相との20日の閣僚折衝で社会保障の歳出改革による保険料軽減を23~24年度に約3300億円と見込むことで合意した。
(共同通信)