有料

物価高にあえて値下げ/外食・スーパー 競争過熱で疲弊も


物価高にあえて値下げ/外食・スーパー 競争過熱で疲弊も 外食、スーパーの「値下げ」例
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 原材料費や燃料費高騰の影響による物価高が長引く中で、あえて値下げに踏み切る飲食店やスーパーマーケットが増えている。物価高で強まる消費者の節約志向に対応し集客を図りたい考えだが、専門家は値下げ競争が過熱化すれば企業が消耗戦に陥り、業界全体が疲弊する可能性もあると指摘する。
 外食大手すかいらーくホールディングス(HD)は、11月からファミリーレストラン「ガスト」で全体の16%に当たる30品目を30~200円値下げした。「たっぷりマヨコーンピザ」は700円から500円と約3割引き下げた。人気メニュー「チーズINハンバーグ」は800円から750円に改めた。
 和食チェーン「なか卯」は4月、主力の「親子丼」を40円値下げした。運営するゼンショーHDの丹羽清彦執行役員は「いろいろと実験して、安心して食べてもらえる価格設定をしている」と自信を見せた。
 イオンは9月と12月に約1万店舗でプライベートブランド(PB)「トップバリュ」シリーズの計60品目の価格を2~26%相次いで引き下げた。サラダ油やホットケーキミックスなど、原材料の高騰で値上がりが目立っていた食品も対象にした。イオンは「実質的な値下げ」による消費者からの支持拡大も狙う。11月に期間限定でPBの31品目の増量を発表。「カスタードクリームパン」は5個入りを6個入りとして価格は138円に据え置いた。担当者は「一部の原材料価格が安定してきたことに加え、物流を工夫した」と説明し、購買頻度の高い生活必需品を選んでいると強調した。
 浜銀総合研究所の佐橋官主任研究員は「節約志向で家計の支出が絞られ、値下げによる集客にかじを切る企業が現れてきた」と分析。「各種コストが上昇する中で企業は効率化を進めることが不可欠だ。値下げだけでは体力勝負の消耗戦に陥るリスクがある」と指摘した。