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農業基本法、初の改正へ/食料安保 国の対応強化


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府は27日、農政の基本理念を示す食料・農業・農村基本法の改正案を2024年の通常国会に提出する方針を決めた。1999年の施行以来初の改正で、食料安全保障の強化を柱と位置付ける。具体的な施策を実行するための新法として、食料危機時の対応方針を定める法案と、人工知能(AI)などの先進技術を使ったスマート農業を推進する法案も提出する。
 この日開いた食料安定供給・農林水産業基盤強化本部の会合で、食料安全保障強化政策大綱の改定と関連施策の工程表を決定。一連の法整備方針も盛り込んだ。
 基本法の改正はロシアのウクライナ侵攻や地球温暖化など、施行当時に想定されていなかった食料安定供給を巡る課題に対応する狙いがある。岸田文雄首相は「基本法の制定から四半世紀を経て初の本格的な改正を行う」と表明した。
 基本法の改正と危機対応の新法制定により、食料危機の恐れが生じた段階から首相をトップとする政府対策本部を設置し、関係省庁が一体的に対応する体制を整える。国が企業に輸入拡大を要請したり、農家に穀物への生産転換を指示したりできるようにする。
 農地の確保と適正利用に向け、農地法などを改正。スマート農業の取り組みや技術開発を減税などで支援する新法も制定し、担い手不足が課題となっている農業現場の生産性を高める。
 農林水産物の輸出拡大は、生産基盤の維持にも資すると位置付けて支援を強化する。輸出産地を育成するほか、事業者や生産者に輸出先市場に関する情報提供などを行う「輸出支援プラットフォーム」を活用する。
 環境対応も重視し、農水省の補助事業などで環境負荷低減の取り組みを義務化する「クロスコンプライアンス」を導入する。