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柏崎刈羽の運転禁止解除/原子力規制委 テロ対策改善確認


柏崎刈羽の運転禁止解除/原子力規制委 テロ対策改善確認 新潟・柏崎刈羽原発
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 原子力規制委員会は27日の定例会合で、テロ対策不備で事実上の運転禁止命令を出している東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)について、改善が確認できたとして命令を解除した。東電が抱える問題は根深く、解除まで約2年8カ月を要した。東電は再稼働に向けた手続きを進められるようになったが、新潟県などの地元同意が得られる見通しは立っていない。

 委員5人全員が解除に賛成した。課題とされた荒天時の対応などを今後も検査する方針を決定。山中伸介委員長は「これをスタートラインとしてハード面、ソフト面の継続的な改善を(東電に)求める」と述べた。
 山中氏は記者会見で「(命令解除で)東電にお墨付きを与えたつもりはない」と強調した。
 新潟県の花角英世知事は再稼働について「県民の意見を聞いて判断したい」としており、解除後に「規制委の判断について県民に丁寧に分かりやすく説明してほしい」とのコメントを発表した。
 取材に応じた東電の小早川智明社長は「再稼働時期の見通しは、申し上げる段階にはない」と述べた。
 柏崎刈羽6、7号機は2017年12月に規制委の審査に合格したが、21年1月以降、社員によるIDカード不正利用や侵入検知設備の故障などの不備が相次いで発覚。規制委は同年4月、核燃料の移動を禁じる命令を出し、運転できない状態となっていた。
 規制委は延べ4268時間の追加検査で東電の改善状況を確認。
 林芳正官房長官は記者会見で「再稼働に向け柏崎刈羽原発の必要性や意義について、新潟県などの理解と協力を得られるよう丁寧に説明したい」と述べた。