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国債購入、23年は113兆円/日銀 過去2番目の高水準


国債購入、23年は113兆円/日銀 過去2番目の高水準 日銀の長期国債の買い入れ額
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 日銀は4日、2023年に市場で買い入れた長期国債が113兆9380億円だったと発表した。過去最大だった16年の119兆2416億円に次ぐ過去2番目の高水準となった。市場で長期金利に上昇圧力がかかる中、大規模な金融緩和策の一環で続けた金利抑制のための買い入れが膨らんだ。
 国債の大量購入は流通量の減少や、金利水準を決める市場の機能低下を招いている。日銀が機能改善を目的に、22年以降行った政策修正に大きな効果は見られず、引き続き緩和策の副作用への対処が求められそうだ。
 緩和策は短期金利をマイナス0・1%とし、長期金利は国債を買い入れて0%程度に誘導することが柱。日銀は22年12月、容認する長期金利の上限を0・25%から0・5%に引き上げる政策修正を実施した。23年7月に0・5%を1%へ引き上げ、10月には「1%をめど」に柔軟化して1%を超えることも容認した。
 植田和男総裁は政策修正について「長期金利の形成をもう少し市場に委ねる」と語り、緩和策の副作用への対処が狙いと説明した。一方で、高水準の買い入れは続き、日銀による債券市場の機能度調査などでは改善は小幅にとどまった。
 23年1月には、市場で金融政策の正常化観測が強まり、国債価格が下がる前に手放そうとする動きが広がって金利が上昇。日銀は23兆円超と月間で過去最大の買い入れを強いられた。日本の長期金利と連動しやすい米国の長期金利の上昇などもあり、月間で6兆~11兆円程度の買い入れが続いた。