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SBI証券 一部業務停止命令/金融庁方針 新規公開株価操作か


SBI証券 一部業務停止命令/金融庁方針 新規公開株価操作か 金融庁が証券会社に出した主な行政処分
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 新規株式公開(IPO)した企業の株価をつり上げる操作をしようとし、金融商品取引法に違反したとして、金融庁がインターネット証券最大手のSBI証券に一部業務停止命令を近く出す方針を固めたことが11日、分かった。新規公開した株を買うよう勧誘し受託する業務を一定期間停止させる。証券業界の評判が悪化すれば、新しい少額投資非課税制度(NISA)で盛り上がる投資機運に水を差す恐れもある。

 つり上げようとしたのは新規上場後に初めて付く株価で「初値」と呼ばれる。株価操作を役員が主導しており、悪質性が高いと判断したとみられる。業務停止は顧客への影響を抑えるため、短い期間になる。ガバナンス体制の強化などを求める業務改善命令も合わせて出す。証券取引等監視委員会が昨年12月15日、金融庁に行政処分するよう勧告していた。
 監視委によると、SBI証券は2020年12月から21年9月、主幹事を務めたIPO3銘柄で初値が公募価格を下回らないようにするため、相場を変動させると知りながら機関投資家や個人投資家に株を買い付けるよう勧誘した。
 顧客には実際に株を買う必要はなく、初値が公募価格を上回れば注文を取り消していいと伝えていた。
 監視委はSBI証券への立ち入り検査を実施し、事実関係を調べていた。投資家が注目する初値が高くなるようにし、IPO業務の評判を高めて収益を拡大する狙いがあったとみている。
 大手証券会社への一部業務停止命令は、相場操縦事件を巡ってSMBC日興証券に22年10月に出して以来となる。