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新幹線システム参入断念/JR東日本など マレーシア鉄道計画


新幹線システム参入断念/JR東日本など マレーシア鉄道計画 マレー半島の高速鉄道計画のイメージ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【クアラルンプール共同】マレーシアの首都クアラルンプールとシンガポールを結ぶ高速鉄道計画を巡り、日本の新幹線システム導入を目指していたJR東日本など日本勢が計画への参入を断念することが11日、分かった。
 事業提案書の締め切りは今月15日だが、現地政府の金融支援などがなく、リスクが大きいと判断した。日本とマレーシアの政府、企業関係者が明かした。
 ライバルの中国勢は高速鉄道をインドネシアで2023年に開業し、タイでも建設を進めており、受注すれば東南アジア市場で優位が確立しそうだ。ただ中国側も過度の財務負担を警戒しており、計画は曲折する可能性もある。
 マレーシア政府は23年7月、事業提案を募集した。関係者によると、複数の地元企業が中国や欧州の企業と組み、提案書を出す見通しだ。マレーシア側は数カ月で候補を絞り、24年中にもシンガポール政府と本格協議に入る。
 総工費は1千億リンギット(約3兆1千億円)に上る見込み。マレーシア政府は原則、債務保証や財政支出をせず、民間資金によるインフラ整備(PFI)で進める考えだ。日本側には「土地収用で政府の関与が薄く、リスクが大きい」(関係者)と冷めた見方があった。両国とも低所得国ではなく、開発途上国に対し低利で資金を貸し付ける円借款の対象になりにくい。
 マレー半島の高速鉄道計画には13年にマレーシアとシンガポール両政府が基本合意。しかし21年に財政悪化を懸念したマレーシアのムヒディン政権(当時)が計画を撤回。その後、アンワル政権下で正式に再始動した。