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中小企業被害、数千億円/能登地震 伝統工芸、観光に打撃


中小企業被害、数千億円/能登地震 伝統工芸、観光に打撃 能登半島地震による中小企業・小規模事業者の主な被害状況
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 能登半島地震による中小企業や小規模事業者への被害が新潟、富山、石川、福井の4県の合計で数千億円規模に上る可能性があることが29日分かった。揺れや液状化による建物や設備の損壊が多数確認されており、伝統工芸や観光が盛んな地域経済に甚大な打撃が及んでいる。政府は補助金や金融支援を通じて、地場産業の再建や雇用維持を後押しする方針だ。

 4県の自治体関係者などへの取材で判明した。石川県では観光名所「輪島朝市」の火災で輪島漆器の工房などに壊滅的な被害が生じた。商工会議所幹部からは「輪島市だけで3千億円くらいの被害がある」との声が上がる。
 半島北部の奥能登エリアにある酒蔵や和倉温泉(七尾市)でも建物被害が相次いだ。全容はつかめていないが、石川県幹部は「県内の中小・小規模事業者全体で数千億円規模ではないか」と語る。
 液状化被害が激しかった富山県は、中小企業などへの被害が少なくとも100億円規模に上ると推計。地盤沈下による建物損壊が続発した新潟県は20億円程度、あわら温泉(あわら市)で宿泊施設に被害が出るなどした福井県は約9億円とそれぞれ見積もった。各県で今後さらに被害が膨らむ可能性もある。
 政府は25日に決定した被災者支援政策パッケージで、施設や設備の復旧に1件当たり最大15億円を補助するほか、伝統産業の早期再生に向けて原材料の確保などを助成する方針を打ち出した。雇用維持を図る企業に対しては雇用調整助成金を拡充して対応。観光業の回復を後押しするため、1泊2万円を上限に旅行代金の50%を割り引く「北陸応援割」も導入する。