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黒田氏「物価目標は決意」 13年7~12月議事録 2年での達成にこだわり


黒田氏「物価目標は決意」 13年7~12月議事録 2年での達成にこだわり 日銀の金融政策を巡る経過
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 日銀は31日、2013年7~12月の金融政策決定会合の議事録を公開した。8月8日の会合では、2%の物価上昇を2年程度で実現するとした物価安定目標について、一部の出席者が2年程度で達成できなかった場合の政策対応を事前に示すべきだと主張した際、黒田東彦総裁が「(2年程度とした部分には)デフレ脱却に向けた強い決意を示す意味があり、この部分を弱める情報発信を今行うのは適当ではない」とこだわりを見せていたことが分かった。
 黒田氏は13年3月に総裁となり、翌4月の会合で大規模な金融緩和策の導入を決めた。13年5月には消費者物価がマイナス圏を脱し、金融緩和を受けて株高や円安も進んでいた。黒田氏は日銀が目標を達成できない可能性を自ら示すことで、緩和の効果がそがれることを懸念したとみられる。
 8月8日の会合で木内登英審議委員は「市場では(物価目標の)達成が容易ではないとの見方が依然強いとみられる」と指摘。実現しない場合の政策対応を日銀が説明しないことで「先行きの金融政策の不確実性が高いことが市場で懸念されている」と訴えた。
 白井さゆり審議委員は「下振れリスクを意識する必要がある」と主張。中曽宏副総裁は、下振れリスクを強調すると「それ自体がリスクを加速してしまう部分がある」と慎重な姿勢を示した。
 これに対し、佐藤健裕審議委員は「実際に下振れた時に日銀の見通しや政策に対する信認の低下という形になって現れかねない」と反論。白井氏と佐藤氏、木内氏の3人が展望リポートの総裁案に反対した。
 一方、11月21日の会合で黒田氏は、14年4月の消費税増税を巡り「駆け込み(需要)と反動減があり、経済にはマイナスでもプラスでもない」と説明した。