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荷待ち 年125時間削減 物流24年問題、政府計画


荷待ち 年125時間削減 物流24年問題、政府計画 政府の中長期計画ポイント
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府は16日、トラック運転手の残業規制適用に伴う物流の「2024年問題」への対応策を盛り込んだ中長期計画をまとめた。輸送能力を上げて物流を維持するため、法規制や作業の無駄をなくすことによって、運転手が配送拠点などで待機する荷待ち時間を30年度までに1人当たり年125時間削減。トラックの輸送効率を示す積載率は引き上げる。運転手の待遇改善に向け、24年度に10%程度の賃上げを目指す方針も掲げた。
 対策を打たないと、24年度に運べる荷物の量が19年度比で14%、30年度は34%減るとの試算がある。政府は荷待ち時間削減計画の策定を荷主に義務付ける法改正案を今国会に提出。中長期計画の実行と併せ、今後も19年度並みの輸送力を維持できると見込む。
 中長期計画では、荷待ち時間を削減するため、仕分け作業などを自動化した倉庫や無人フォークリフトの導入を促す。複数企業の荷物をまとめて運ぶ「共同輸送」などで、40%を切っている積載率を30年度には44%に引き上げる。
 鉄道や船舶といった、トラック以外の手段による輸送量を増やす「モーダルシフト」を推進。運転手の負担となる再配達率の削減に向け、玄関前に荷物を置く「置き配」を選んだ人にポイントを付けるといった取り組みも後押しする。賃上げに向け国交省は、目安となる「標準的な運賃」を平均で8%引き上げるほか、荷物の積み降ろし作業などの費用も示し、きちんと受け取れるようにする。契約で取り決めていないのに、作業を強いられ、対価を受け取れていない運送業者も多かった。ただ「標準的な運賃」は強制力がない。国交省は、不当な安値を迫る企業への監視体制を強化している。