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農林業ドローン大型化 積載3倍、物資運搬も期待


農林業ドローン大型化 積載3倍、物資運搬も期待 液体肥料をまく大型ドローン(シーアイロボティクス提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 農林業でドローンの大型化が進んでいる。大分市のciRobotics(シーアイロボティクス)は従来の3倍超となる、70リットルの農薬や液体肥料を積載できるドローンを販売。農薬散布の範囲が広がるため、作業の効率化に役立つ。山間地の資材輸送のほか、被災地への物資運搬で活躍が期待されている。
 「飛行時間は限られるが、大型化のニーズはある」。シーアイロボティクスの長尾祥伍さん(29)は話す。同社のドローンの積載量はこれまで10~20リットルが主流だったが、全長約4メートルの大型ドローンの販売を2023年5月に始めた。農薬をたくさん積めるため、広い農地での散布に向く。
 従来は積載量が制限されるため、種類が限られる高濃度の薬剤を使うことが多かった。大型ドローンなら、普段使っている地上と同じ濃さの農薬を使える利点もある。
 中国の広州極飛科技(XAG)の日本法人(兵庫県小野市)は23年12月、約50リットルを積載可能な農業用ドローンを発売した。従来の最大約20リットルから一気に大型化した。住田靖浩社長(55)は「農薬に加え、肥料をまきたいという声もあり、大型の方が用途は広い」と指摘する。
 大阪府東大阪市のマゼックスは、林業用に55~60キロの資材が運搬できる機体の開発を進める。同社は「林業もシカの防護柵の資材輸送など運搬物が多様化しつつある。能登半島地震でも水の輸送にドローンが使われたが、大型化すれば輸送量が増え、災害時にも役立つ」と話している。
 農林水産省は22年11月から12月、ドローンやロボットなど先進技術を活用したスマート農業について、農家や研究者、自治体関係者を対象にしたインターネット上のアンケートを実施。現場で必要とされている技術を複数回答可で尋ねると「一度の飛行で広範囲の農薬散布が可能なドローン」が最多となった。1095件の回答のうち277件だった。