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中国住宅ローン利下げ/3.95%/不動産不況/打開狙う


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【北京共同】中国人民銀行(中央銀行)は20日、事実上の政策金利「ローンプライムレート(貸出基礎金利、LPR)」で住宅ローン金利の基準となる5年物を0・25%引き下げ、3・95%とした。引き下げは昨年6月以来8カ月ぶり。習近平指導部は不動産不況に危機感を強めており、事態打開に向け住宅購入を後押しする。企業向け貸出金利の目安となるLPRの1年物は6カ月連続で3・45%に据え置いた。
 中国では春節(旧正月)の大型連休(10~17日)が明け、企業活動が再開。2024年の国内総生産(GDP)成長目標を含む経済政策を議論する全国人民代表大会(全人代=国会)が来月に開かれる。習指導部は安定成長に道筋を付けたい考えで、市場では追加金融緩和の観測がくすぶる。
 不動産関連はGDPの3割を占め、長引く不動産不況で中国経済は景気減速とデフレ懸念が深刻化している。利下げは人民元安による海外への資金流出を招く恐れがあり、人民銀は米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ時期もにらみながら追加措置を判断する構えだ。
 経営再建中の不動産大手、中国恒大集団などの開発企業が資金繰りに窮し、中国各地でマンション工事が中断。多くの市民が住宅購入を見合わせている。中国証券報など主要紙は今回の5年物LPRの引き下げ幅は19年に現在の形となったLPR制度開始以降で最大と報道。人民銀は住宅ローン金利の大幅な引き下げで市場の活性化を図る。
 中国は住宅市場の冷え込みが個人消費の低迷に波及し、物価下落圧力が強まっている。国家統計局が発表した1月の消費者物価指数(CPI)は4カ月連続で前年同月比マイナスとなり、下落幅は0・8%と14年4カ月ぶりの大きさだった。

 中国の金融政策 中国人民銀行(中央銀行)が金利操作などで、世の中に出回るお金の量を調整している。1年物の「ローンプライムレート(貸出基礎金利、LPR)」が事実上の政策金利として運用され、5年物は住宅ローン金利の基準となる。LPR算出には、市中銀行に資金を供給する「MLF(中期貸出制度)」の融資金利が基準となっている。金融機関から預金の一定割合を預かる預金準備率の上げ下げも、企業融資などに回せるお金を調整する効果がある。