有料

相次ぐ満額、人材確保へ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 今春闘は、労使の交渉序盤で賃上げ要求に対する満額回答が相次いでいる。人手不足が進む中、経営側には「人への投資」に消極的との企業イメージが広がると、優秀な人材の獲得競争で後手に回りかねないとの危機感がある。労働組合の要求額を上回るケースも目立ってきた。
 自動車メーカー大手は半導体不足の解消や円安を追い風に業績が好調だ。満額回答に加え上乗せを提示したホンダは、新卒を含む若手への配分を手厚くする方針も打ち出している。
 マツダも21日、満額回答。オンラインで記者会見した人事担当の竹内都美子執行役員は「人の力を最大限に引き出せる環境をつくる」とアピールした。
 三井金属は14日、賃金水準を引き上げるベースアップ(ベア)月2万円を実施すると発表した。労組の要求1万5千円を上回り、記録が残る中では過去最高水準で、要求提出から1週間もたたずに労使合意。同社は「優秀な人材を獲得し、物価上昇に対応するため」と強調した。
 小売業界は人手不足が深刻だ。総合スーパーを展開するイオンリテール(千葉市)も正社員で平均6・39%、パート従業員も時給を7・02%引き上げると明らかにした。家電量販店コジマは労組の要求に先駆け、平均8・8%の賃上げをする方針を労組側に伝えた。先手先手で人材確保を狙う動きが拡大しそうだ。