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「マネーゲームだ」 中小経営者、市民冷ややか


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 市民とは無関係のマネーゲーム―。日経平均株価がバブル経済期以来約34年ぶりに史上最高値を付けた22日、証券業界など一部の高揚感と対照的に、会社員や中小企業の経営者らからは冷ややかな声が漏れた。「生活は苦しいままだ」。株価だけでなく物価も上がり続ける中、増えない収入に将来の不安も募らせた。
 「会社の売り上げが上がったから株価が上がったというわけじゃない」。大阪市の住宅販売会社社長の今井孝明さん(46)は戸惑いを見せた。「実体経済から離れたマネーゲームのバブルで、いつか崩壊するのではないか。中小企業の身からすれば、非常に怖い状態だ」と不安げに語った。
 鹿児島市の商業施設に勤める下窪由梨亜さん(37)は「株価が上がることで給料も上がるならうれしいが、その気配はない」と語る。勤務先はここ1年で2回値上げをした。「景気が良いなんて言われても実感はない」と突き放した。
 2011年に東日本大震災の津波で経営していた民宿が流された宮城県七ケ浜町の無職女性(85)は「間もなく震災から13年たつが、景気や生活がよくなったとは全く感じない」と最高値更新にも冷めた反応だった。
 東京・新橋を出張で訪れた大分市の男性会社員(44)は「物価高だし、日本の景気が良くなった実感はない」と首をひねった。自社株を運用しているが「少ない量なので、最高値を更新しても影響はない」と苦笑いした。
 個人で投資している東京都港区の不動産業青木裕さん(43)は「買えば買うほどもうかったバブル期とは違い国民が恩恵を受けていない。最高値は、うれしさよりも、いつ暴落するのかという違和感や怖さがある」と話した。