日経平均株価が22日、史上最高値を約34年ぶりに更新した。東京証券取引所の時価総額上位銘柄の顔触れを見ると、バブル経済期と現在で様変わりした。けん引役だった銀行株は脇に回り、代わりにハイテク株が主役に躍り出た。「ITバブル」と指摘する見立てもある一方、半導体関連を中心に日本の技術力の再興が見込める潮目だ。
SMBC日興証券によると、前回に平均株価が最高値を付けた1989年12月29日の1位はNTTで、政府保有分を含めて22兆9千億円。87年に上場し、投資ブームを起こした。
かつてトップ10の過半を占めたのは銀行株。だが、22日時点では1銘柄にとどまる。バブル崩壊後に不良債権処理に追われ、再編を繰り返した影響が表れている。
代わりに表舞台に立ったのはハイテク株だ。かつて9位のトヨタ自動車は高い技術力と好調な世界販売が評価されて首位となり、いまや時価総額は57兆円超で最盛期のNTTを上回る。
このほか半導体製造装置の東京エレクトロンが3位、画像処理用の半導体で高い競争力を誇るソニーグループが5位につける。英半導体設計大手を傘下に持つソフトバンクグループが9位、半導体基板材料の信越化学工業が10位に入る。
野村証券の神谷和男ストラテジストは「今の時代に期待を背負うのは半導体関連だ。人工知能(AI)が社会を変えると見込まれている」と語る。
半導体は経済安全保障上も重要視される。日経平均株価の225種は素材銘柄の繊維株が34年前の16銘柄から2銘柄に減る一方、電気機器株が15銘柄から31銘柄に増え、市場のハイテク産業重視を映し出す。
主力銘柄の多くが堅調な業績を示し、買い注文を集める中、懸念されるのは中国の動向だ。対中輸出が多い東京エレクトロンは、米中対立に巻き込まれないことが収益安定の鍵を握ると言えそうだ。
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ハイテク株が主役に 日本技術力 再興の潮目 東証最高値
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琉球新報朝刊
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