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機密保護、経済安保に拡大 新法案 情報対処 有資格者限定 漏えいは最長5年の拘禁刑


機密保護、経済安保に拡大 新法案 情報対処 有資格者限定 漏えいは最長5年の拘禁刑 重要経済安全保障情報保護・活用法案の主なポイント
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府は27日、機密情報の保全を先端技術や重要インフラなど経済安全保障分野に広げる新法案「重要経済安保情報保護・活用法案」を閣議決定し、国会に提出した。情報の取り扱いを有資格者に限定する「セキュリティー・クリアランス(適性評価)」制度を創設し、漏えいには最長5年の拘禁刑などを科す。より機密性の高い経済安保情報は、防衛や外交などの機密を対象とする特定秘密保護法の運用拡大で対応。新法案との二段構えで情報管理を強化する。
 経済安保の機密保全制度を導入済みの欧米各国と足並みをそろえ、当局間の情報共有や、関連技術を巡る企業の国際共同開発を進めるのが狙い。高市早苗経済安保担当相は記者会見で「同志国と同レベルの法制度を設けることで、同じスタートラインに立ってビジネスができるようになる」と意義を強調した。新法案は、漏えいすると国の安保に支障を与える恐れがあるため秘匿すべき情報を「重要経済安保情報」に指定。指定期間は5年だが、原則通算30年まで延長できる。
 適性評価は公務員や研究者、企業の従業員らを対象とし、本人の同意を前提に犯罪歴や飲酒の節度などの身辺調査を行って資格付与を判断する。企業の従業員が、業務に関連して重要情報を漏えいした場合は、所属企業にも罰金を科す。政府の恣意(しい)的な機密指定や過剰指定で、国民の知る権利が侵害されることへの懸念は根強い。身辺調査に伴うプライバシー権の侵害や、適性評価を拒んだり不合格となったりした従業員が社内で不利益を被る弊害を防ぐ手だても課題となる。
 機密の指定・解除など運用基準は通常国会での法制化後に有識者会議で検討する方針。林芳正官房長官は会見で、プライバシー権や個人情報保護の配慮は「当然だ」と述べ、運用基準でしっかり対応する考えを示した。
 政府は27日、導入時に国の事前審査が必要な基幹インフラに港湾を追加する経済安保推進法の改正案も国会に提出した。