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日産に下請法違反勧告 公取委 業界へ再発防止要請


日産に下請法違反勧告 公取委 業界へ再発防止要請 記者会見する公正取引委員会の片桐一幸取引部長=7日午後、東京都千代田区
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 下請け業者への支払代金を不当に減額したのは下請法違反(代金減額の禁止)に当たるとして、公正取引委員会は7日、日産自動車に再発防止を勧告した。約2年間に部品メーカーなど36社を対象に、一度決まった支払代金から計30億円超を減額したと認定した。減額幅は日産と下請け間で協議して決め、覚書も交わしていた。違法な商慣行は数十年前から常態化していたとみられ、公取委は下請法が順守される体制を社長を中心に整備するよう日産側に求めた。
 公取委は同様の減額強要などの下請けいじめが自動車業界で相次いでいる点を問題視。業界団体の日本自動車工業会にも再発防止を申し入れるとした。
 公取委の片桐一幸取引部長は記者会見で「中小企業の賃上げ実現のために(コスト上昇分の取引価格への)価格転嫁が強く求められる中で、供給網の頂点に立つ企業によって下請法違反が行われてきたことは非常に遺憾だ」と述べた。日産に対し、定期的な監査や研修の実施を求めた。
 日産は「大変重く受け止める」とのコメントを発表。違法な減額は「運用を廃止した」とした。減額相当分は既に各社へ支払っている。
 公取委によると、2021年1月~23年4月、コストダウンの目標値を達成するため、一度決まった支払代金から数%を減額した。減額の総額は約30億2367万円で、1956年の下請法施行以来、最高額となる。
 違法な減額は「割戻金」名目で行われ、減額幅は下請けの意向も踏まえて決められた。下請法は、下請け側に責任がある場合などを除き、当事者間の合意があっても発注金額から減額することを禁じている。
 自動車メーカーに対する勧告ではマツダが21年3月に、3社から手数料などの名目で約5100万円を徴収したとして勧告を受けている。

記者会見する公正取引委員会の片桐一幸取引部長=7日午後、東京都千代田区