選択的夫婦別姓の早期実現を求める企業経営者らが8日、法人役員ら千人超の署名を添えた要望書を政府に提出した。経団連や経済同友会など5団体の担当者らも同行して要請。経団連は2024年度前半に提言を作成し、政府に提出する予定で、経済界を挙げて取り組みを進める。ビジネス現場で旧姓を通称使用している現状では、海外渡航時の手続きなどで支障が多いとして法制化を訴えた。
要望書は岸田文雄首相と関係閣僚宛て。法務省と外務省でそれぞれ門山宏哲法務副大臣と深沢陽一外務政務官に手渡した。法務省への要請で、大和証券グループ本社の田代桂子副社長は経済同友会の要望書も提出し「ビジネス界として非常に困っており、コストもかかっている。ぜひ実現させていただきたい」と述べた。
署名を集めたのは、IT企業サイボウズの青野慶久社長ら19人が呼びかけ人となった「選択的夫婦別姓の早期実現を求めるビジネスリーダー有志の会」。2021年4月に発足し、企業・団体役員からオンラインで署名を募り、賛同の輪が広がった。サントリーホールディングスの新浪剛史社長や、楽天グループの三木谷浩史会長兼社長らも署名に名を連ねた。
有志の会は要望書で、法的根拠のない旧姓の通称使用は本人確認や公的書類の記載で混乱を招くと指摘。「日本企業、社会の国際的な信用性や競争力を高めるためにも導入は急務」と訴えた。首相の代理で署名を受け取った矢田稚子首相補佐官は「個人としては、何で(実現が)できないのかという思い。ビジネス界でこれだけの声が上がったことは画期的」と話した。
(共同通信)