有料

女性健康ケア、導入企業増 生理伴う不調、理解促進


女性健康ケア、導入企業増 生理伴う不調、理解促進 生理に伴う症状による経済損失
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 生理に伴う女性特有の健康課題へのサポートや、社員の理解促進を図る企業が増えている。上司には男性が多いため、体の不調を打ち明けられずに悩む女性は多い。働きやすい環境を整え、仕事の成果向上やキャリア継続を支援する。
 経済産業省が2月に公表した試算では、生理に伴う気分の浮き沈みや体調不良による欠勤など、1年間の経済的損失は5700億円に上る。
 ディスカウント店「ドン・キホーテ」などを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)は、女性社員向けにオンライン診療で低用量ピルを処方する福利厚生サービスを昨年春に導入した。低用量ピルには生理痛の緩和や心理面を安定させる効果があり、購入にかかる費用を全額負担する。
 女性社員への調査を実施したところ、約4人に1人が生理痛で休んだことがあることが判明した。制度整備を進めた増渕美里さんは「パフォーマンスが落ちているならフォローが必要だと考えた」と話した。利用者からは制度継続の希望が多く寄せられているという。
 タイヤ大手のブリヂストンは、オンラインでの婦人科診療や低用量ピルを処方するサービス導入のほか、全社員が女性特有の健康課題に対して正しい知識を学ぶセミナーを開催。男性にも理解を深めてもらうことで多様な人材を生かせる風土づくりを進める。
 生理中でも勤務中にトイレに行く時間が取れず下着が汚れたり、痛みを抱えながら接客などで立ち仕事を続けたりする場合もある。
 女性の健康課題の解決を目指す「フェルマータ」(東京)の近藤佳奈最高執行責任者(COO)は「過酷な環境を乗り越えるため、ものやサービスを採り入れることが役立つ場合もある」とした上で、生理休暇など使われにくい制度もあるとして「社員の声をしっかりと聞いて自社の課題を把握し、労働環境の改善など必要な解決策を選んでほしい」と強調した。