有料

抜本解決、道険しく


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 医師の働き方改革の調査で、規制以降も回答病院の9割で原則とされる年960時間を超える時間外・休日労働を想定していることが明らかになった。罰則付きで上限を設け、医師の深刻な過重労働解消を目指す新制度だが、道は依然険しい。
 全国的に長時間労働は減少傾向にあるが、改善の目安とする年960時間でさえも「過労死ライン」と重なる水準で、一般労働者(原則年360時間、最長年720時間)との差は大きい。
 医療界は自己犠牲を美徳とする価値観が根強く、長時間勤務が常態化している。医師の過労死もなくならない。調査では病院の多くが改革自体を評価する一方、地域や診療科による医師偏在など構造的問題の解決に本腰を入れるよう国に求める声も相次いだ。
 病院側も対策を進めているが、学習や研究といった自己研さんと業務の線引きを明確にするなどやるべきことはまだあるはずだ。医師の健康維持は患者の安全のためでもある。ワークライフバランスを保ちながら、医療の質をどう担保していくのか。持続可能な医療の在り方が問われている。