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USスチール買収 政治問題化 バイデン氏 懸念表明へ トランプ氏は「阻止」


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 【ワシントン共同】バイデン米大統領が日本製鉄の米鉄鋼大手USスチール買収を巡り「深刻な懸念」を近く表明する。欧米メディアが13日報じた。11月の大統領選を見据え、買収に反発する労働者層へアピールする狙いがある。トランプ前米大統領は既に買収阻止を表明しており、政治に翻弄(ほんろう)される展開が一層鮮明化しそうだ。
 大統領が企業の買収事案の審査結果を待たずに意見表明するのは異例。岸田文雄首相の4月の訪米前に声明を出すとみられ、日本政府にも非公式に方針を伝えたもようだ。買収に向けては、反対姿勢を示す労働組合の同意が焦点となる。
 英紙フィナンシャル・タイムズによると、バイデン氏は買収阻止までは踏み込まないものの、反対姿勢をにじませる見込み。政権が昨年12月に発表した「真剣な精査に値する」との声明に沿った内容になるとの観測が出ている。
 林芳正官房長官は14日の記者会見で「個別の経営事案にコメントすることは差し控えたい」とした上で「日米同盟はかつてなく強固」と強調した。
 日鉄は昨年12月、約141億ドル(約2兆円)を投じてUSスチールを完全子会社化する方針を公表。全米鉄鋼労働組合(USW)は反発している。