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BMに下請法違反勧告 8項目、損害算定不能


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 中古車販売大手ビッグモーター(BM、東京)の下請法違反問題で公正取引委員会は15日、子会社ビーエムハナテン(東京)と合わせて8項目の違反行為を認定し、2社に再発防止を勧告、指導した。公取委は通常、下請け業者が受けた損害額を算出するが、BMによる記録の保存が十分でなく「算定不能」と結論付けた。自前調査を求める異例の措置を勧告、指導に盛り込んだ。公取委が認定した違反行為は氷山の一角の可能性がある。BMは「勧告に対し真摯(しんし)に対応する」とした。
 公取委によると、昨年7月時点で2社の計239店舗が下請けと取引していたが、多くが下請けの名簿すら作成していなかった。下請けとの取引を担当していた社員が相次いで退職したことに加え、下請けとのやりとりに使っていたメッセージも消去されていたことから、昨年7月の公取委の調査開始後に即席の名簿を作成するなどした31店を主な対象とした。
 下請法は書類の作成や保存を義務付けており、公取委の担当者は「記録が欠落することはあっても、そもそも何もないというのは非常に特殊なケースだ」と批判した。
 公取委は2社が2021年8月~23年6月、車体のコーティング加工などを担う下請け12業者に対し(1)不当に値下げを求め、従来より約3割安く発注(2)洗車中に車内に水をかけたとして、約100万円で車を購入するよう強要(3)BMで車検を受けるよう要請(4)無償で店舗の草むしりや展示車両のワックスがけをさせる―などの違法行為を繰り返したと認定した。
 公取委は勧告で、違反行為の通報を受け付ける窓口を設置するよう要求。新たに違反が認められた場合には返金などの措置を取ることや、公取委への報告も求めた。