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賃上げが「最後のピース」 政策正常化の条件整う マイナス金利解除へ


賃上げが「最後のピース」 政策正常化の条件整う マイナス金利解除へ 植田和男総裁
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 日銀は、賃金と物価がそろって上がる経済の好循環の実現には、2024年春闘での高水準の賃上げが「最後のピース」(幹部)になると位置付けてきた。連合が15日発表した中間集計の平均賃上げ率は5・28%で、33年ぶりという歴史的な高さ。金融政策の正常化に踏み出す条件は整った。
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 日銀の植田和男総裁は記者会見や国会答弁で、24年春闘の結果が正常化開始に向けた「大きなポイント」と繰り返し強調。複数の日銀幹部も「賃上げ率が昨年を上回ることが必要だ」との見方を示していた。
 多くの労働組合が昨年を大幅に上回る賃上げを要求したことで、日銀内では高水準の賃上げに対する期待感が一気に高まった。
 ある日銀幹部は最近も「連合の中間集計で平均賃上げ率が5%を超えれば、行内で正常化開始に異論は出ないだろう」と話していた。
 5・28%という結果を知った経済官庁幹部は「想像以上に強い数字だった。政府内にも利上げに反対する声は出ないだろう」と語った。
 一方、変動型の住宅ローンを組んでいる人には、マイナス金利政策で極めて低く抑えられている金利が解除後にどう動くかが大きな関心を集めそうだ。今回の解除は小幅な利上げにとどまり、市場関係者の間でも日銀がすぐに追加利上げに動くとの見方は少ない。
 金利が急に上がることは考えにくいため、全国銀行協会の加藤勝彦会長=みずほ銀行頭取=は14日の記者会見で「(住宅ローンの)金利負担がただちに大きくなるわけではない」と影響は限定的だとの見通しを示した。
植田和男総裁