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能登、小中学生2割超減 被災4市町 新年度、転校加速か


能登、小中学生2割超減 被災4市町 新年度、転校加速か 奥能登地域の公立小中学児童生徒数の変化
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 能登半島地震で甚大な被害が出た石川県輪島、珠洲、能登、穴水の奥能登地域4市町にある公立小中学校で、新年度の児童生徒が、地震前より2割以上減ったことが5日、各教育委員会への取材で分かった。被災による転校が主な理由とみられる。共同通信が集計した2月時点よりも減少率が高くなり、新年度に合わせ転校が進んだ可能性がある。復旧や住まい確保が遅れれば、さらなる減少が懸念される。
 4市町では、地震前の昨年12月末時点の在籍者は計2676人だったが、新年度は700人ほど減る見込みだ。2月16日時点の各教委へのアンケートでは、地震前と比べて計169人減だった。新年度前に、多くの転校があったとみられる。
 自治体別では輪島市の児童生徒は計687人となり、地震前から38%減となった。例年は千人ほどで、担当者は「新年度はかなり少なかった。仮設住宅に入れなかったり、道路状況が悪くて通学が難しかったりして転校を決めた家庭があった」としている。先が見通せない中でとりあえず残留とした家庭もあり、年度途中にさらに減る可能性もあるという。
 珠洲市は約3割減で、「日々数字が変動する」として具体的な新年度の人数を回答しなかった。
 減少率が12%と最も低かった穴水町の担当者は、比較的早く進んだインフラ復旧が要因と推察。「昨年度末までに町内の自宅へ戻れた家庭が多く、新年度の選択に影響したのではないか」と話した。能登町は13%減。
 奥能登では、住民票のない地域の学校へ就学を認める「区域外就学」を選んだ家庭もあり、復旧が進めば、自宅がある元の学校へ戻る可能性に期待する自治体もあった。
 過疎や災害問題に詳しい東京都立大の山下祐介教授(社会学)は、被災地では戻れるなら戻りたい人が多く、転校は一時的や中期的なものが多いと推測。「将来的に戻ってこられるよう、転校元と転校した子どものつながりが途切れないようにすべきだ」と提案し、学校同士で共同授業をしたりすることで、いつでも帰れる関係性を保てるとした。