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金利引き下げ競争に変化 日銀の金融政策正常化 住宅ローン、ネット銀も対面注力


金利引き下げ競争に変化 日銀の金融政策正常化 住宅ローン、ネット銀も対面注力 auじぶん銀行がKDDI直営の携帯ショップに設けた住宅ローンの相談などを受け付ける窓口=3月、東京都新宿区
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 日銀が金融政策の正常化にかじを切り、住宅ローンの変動金利は現在の歴史的な低水準から上昇する可能性が出てきた。ウェブで手続きが完結するインターネット銀行が対面相談に力を入れるなど、金利引き下げ一辺倒だった競争が曲がり角を迎えている。
 「比較サイトで一番金利が低い銀行を選んだ」。東京都内の会社に勤める30代男性は2022年に6800万円の新築マンションを購入し、KDDI系ネット銀のauじぶん銀行で共働きの妻とペアローンを組んだ。auの携帯電話契約と組み合わせたことで0・3%台の変動金利を提示されたという。携帯に加え、電気やネット、ケーブルテレビを合わせて契約すれば0・1%台まで下がるプランもある。
 auじぶん銀はKDDI直営の携帯ショップに窓口を設け、メガバンクや地方銀行が得意な対面相談にも積極的に応じている。担当者は「ネット銀が市民権を得た結果、ニーズが出てきた」と話す。競合する住信SBIネット銀行も専属代理店「ローンプラザ」を全国で展開している。
 万が一の際にローン残高が50%やゼロになる団体信用生命保険(団信)の保障内容を拡充する動きも広がる。がんと診断されるとローン残高が半分になる「がん50%保障団信」で、じぶん銀は金利上乗せなしで脳卒中など4疾病を追加した。金利上乗せなしで同様の団信を手がける住信SBIネット銀に対抗する。
 住宅ローンの規模拡大路線を続けるネット銀に対し、メガバンクの一角、みずほ銀行は「金利競争が極限状態まで来ている中、さらに踏み込むのは得策ではない」(個人ローン推進部の油井寛部長)と判断。住宅ローンの契約を機に人生設計に合わせた資産形成の相談に応じるなど、金利以外の分野で競争力を高める方針に転換した。
 ファイナンシャルプランナーの高山一恵さんによると、日銀がマイナス金利政策を解除後、住宅ローンに関する相談が増えている。高山さんは「金利上昇に備え、家計をいま一度点検するのが大切だ」と指摘した。