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コロナ貸付金 返済37% 審査緩和と物価高が影響


コロナ貸付金 返済37% 審査緩和と物価高が影響 コロナ特例貸付金の返済状況
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 新型コロナウイルス禍による生活困窮者に対し、国が特例として総額1兆4千億円超を貸し付けた支援策で、2023年の返済予定額約1047億3300万円のうち、実際の返済額が37%にとどまることが9日、厚生労働省への取材で分かった。迅速な支援につなげるため審査条件を緩和して返済能力にかかわらず貸し付けたことに加え、足元の物価高などを受けた家計の回復の遅れが背景にあるとみられる。
 同省は「返済期限が近づいたら、自治体や各地の社会福祉協議会に相談してほしい」としている。
 特例貸し付けは20年3月~22年9月、都道府県の社会福祉協議会が窓口となり実施。休業による減収世帯などを対象とした「緊急小口資金」と、失業者らを対象とした「総合支援資金」があり、金額は合計最大200万円。従来は低所得世帯が生活を立て直すための制度で、コロナ禍の特例として上限額や対象世帯を拡大した。
 返済は23年1月から全国で始まった。同年12月末までに期限を迎えたうち、約387億6800万円が返済され、約659億6500万円が回収できていない。
 全国社会福祉協議会の担当者らによると、従来の貸し付けでは返済能力を審査していた一方、コロナ禍では審査基準や申請手続きを簡略化。返済の可能性が低い人も利用でき、返済率が低くなっているという。
 厚労省は、相談態勢を強化し返済率向上を目指す。自治体による家計支援の活用も求めている。