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巨大IT独占に課徴金 スマホアプリ規制新法成立


巨大IT独占に課徴金 スマホアプリ規制新法成立 「スマホ特定ソフトウエア競争促進法」のポイント
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 スマートフォン向けアプリ市場の巨大IT企業による独占を規制する新法「スマホ特定ソフトウエア競争促進法」が12日の参院本会議で可決、成立した。米アップルやグーグルを念頭に、アプリストアや決済システムの運営で他社の参入を妨害する行為を禁止。自由競争を促し、提供価格の低下や利用者の選択肢の拡大につなげる狙い。違反行為には関連する国内売上高の20%分の課徴金も科す。
 新法は、スマホの利用に特に必要な基本ソフト(OS)やアプリを入手するために使うアプリストア、ブラウザー、検索エンジンを「特定ソフトウエア」と定義。指定事業者を選定し、アプリストアや決済システム、ブラウザーで他社の参入を妨害することや、検索結果で自社のサービスを優先的に表示することを禁止する。2025年末までに施行する見通し。
 新規参入を促進することで競争原理が働き、消費者は購入先の選択肢が増え、アプリなどの価格低下につながることが期待される。一方で、新規事業者の参入で巨大ITが築いてきたアプリの高い安全性が損なわれるリスクも指摘される。
 アップルは新法成立を受けて「セキュリティーやプライバシーに対してこの法律が与える影響に懸念を持ち続けながら、施行に向けて公正取引委員会と連携していく」とするコメントを出した。グーグルは「今後も政府や業界関係者と議論を深める」としている。
 指定事業者には順守状況の報告を義務付け、違反行為があった場合には、公取委が迅速に課徴金納付命令などの対応を取ることを可能にする。改善が見られない場合は課徴金を30%まで引き上げる厳しい措置も盛り込んだ。同様の規制を巡っては、欧州連合(EU)が今年3月に、グーグルやアップルなどに対し禁止事項を定めたデジタル市場法(DMA)を全面適用して先行。日本も足並みをそろえて巨大ITへの監視を強化する。