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中国製EV、関税最大48% EU 暫定判断「補助金不当」


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 【ファサーノ共同=仲嶋芳浩】欧州連合(EU)欧州委員会は12日、中国から輸入される電気自動車(EV)に最大38・1%の追加関税を課す方針を発表した。税率は現行の10%に上乗せされ、最大48・1%となる。欧州委は、中国メーカーが当局から「不当な補助金を受け取っている」と暫定的に判断。中国側との協議が不調に終われば7月4日から実施する。中国製EVへの制裁関税強化を5月に発表した米国に続く動きとなる。中国側は対抗措置を取る構えで、対立激化は必至だ。
 欧米に日本などを加えた先進7カ国(G7)は、中国企業が過剰な生産能力を抱え、EVや太陽光発電設備を不当に安い価格で輸出しているとの懸念を強めている。13日からイタリア南部プーリア州ファサーノで開かれるG7首脳会議(サミット)でも議論する。
 中国商務省は12日、EUの発表に「強烈な不満」を表明するとの談話を発表。「全ての必要な措置を断固として講じる」と対抗姿勢を示した。
 追加関税の税率は、欧州委の調査に協力する姿勢に応じて異なる。非協力的な企業は38・1%が課される。中国EV最大手の比亜迪(BYD)は17・4%になると例示した。導入されれば価格上昇は避けられず、欧州での中国製EVの販売に影響が出そうだ。
 欧州委は、昨年10月から中国製EVに対する調査を始めた。脱炭素化の潮流に対応し、欧州の自動車産業は次世代技術の開発に多額の資金を投じている。不当な補助金を背景に価格競争で優位に立つ中国製品の台頭を許せば、欧州の産業基盤が揺らぎ、環境に配慮した製品の開発などに悪影響が及ぶと懸念している。