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修理費過大請求1.6万件 トヨタ系11社 沖縄は塗装作業で


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 認証不正問題で揺れるトヨタ自動車の系列販売会社で、整備や修理費の過大請求が相次いでいる。ここ1年半ほどで11社が公表し、事案の合計は1万6千件に上る。交換していない部品を代金に計上したり、板金塗装で実際よりも高額の請求をしたりしていた。トヨタ本体も問題を把握しており「不適切な対応を重く受け止めている」とした。
 札幌トヨタ自動車(札幌市)は5月31日、リース会社から受け付けた過去10年(2014~23年)の整備作業で7578件、計約6900万円の過大請求が見つかったと明らかにした。
 実際にはしていない作業の工賃や、交換していない部品の代金を店舗の評価を上げるために計上した。「売上目標必達」という強いプレッシャーなどが不正の背景にあったと説明した。
 ネッツトヨタ千葉(千葉市)も修理していない部位の代金を保険会社に請求し、件数は1687件に上った。NTP名古屋トヨペット(名古屋市)は先進安全装置の再設定が不必要な車で設定や調整の料金を請求した。
 塗装作業では、実際に使った油性塗料よりも高額な水性塗料の費用を請求した例や、高機能のクリア塗装をすべきところを通常の塗装にする事案が目立つ。
 22年12月にネッツトヨタ茨城(水戸市)で発覚した後、トヨタ本体が各販売会社に調査を指示。沖縄トヨタ自動車(浦添市)やトヨタモビリティ富山(富山市)なども塗装作業で過剰な請求が見つかった。高機能塗装には手間がかかるとされ、トヨタカローラ静岡(静岡市)は「納期に間に合わせるためだった」と説明した。
 国内のトヨタ系販売会社は236社(3月末時点)で、ほとんどが地場資本の独立経営。トヨタは公表を各社に任せており、問題の全体像は明らかにしていない。取材に「販売店のガバナンス(企業統治)強化を図るとともに、働く環境や風土の改革を促す」とした。