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特定国への供給依存に懸念 24年通商白書


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 経済産業省がまとめた2024年版通商白書の骨子案が14日、分かった。中国を念頭に、特定国への過度な供給依存によるリスクが表面化していることを問題視。ルールに基づく国際貿易秩序を再構築し、同志国と協力して「透明、強靱(きょうじん)で持続可能なサプライチェーン(供給網)」を築く必要性を強調した。7月上旬をめどに閣議報告する。
 骨子案は、新型コロナ感染拡大やウクライナ侵攻など地政学的リスクの高まりで世界経済の分断が深まっていると指摘。供給依存の高まりや、保護主義の台頭に懸念を示した。その上で「公平な競争条件」を確保するため、供給側と需要側の双方への働きかけを促した。
 グローバルサウス(新興・途上国)が高成長を維持しているとして、ガバナンス強化への支援を通じて成長を後押しし、連携を深めることが重要だとした。特にインドの高成長が際立ち、日本企業の事業拡大意欲も強いと強調した。
 輸入では、日本は米国やドイツと比べても機械類やレアメタルなどで特定国への依存度が高いとし、輸入先の分散化を促した。依存が高まれば、貿易制限や関税引き上げといった手法を通じて他国の政策に影響を及ぼす「経済的威圧」の影響を受ける恐れが強まる。
 一方、輸出では、円安にもかかわらず数量は伸び悩んでいると指摘。輸出企業を取引先に持つ「間接輸出企業」が国内製造業の8割を占めているとし、こうした企業の海外展開支援を輸出拡大の課題として挙げた。