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三菱UFJ銀処分を勧告 監視委 顧客情報違法共有と認定


三菱UFJ銀処分を勧告 監視委 顧客情報違法共有と認定 三菱UFJ銀と系列証券による違反の構図
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 顧客企業の未公開情報を無断で共有したなどとして、証券取引等監視委員会は14日、金融商品取引法違反の疑いで、三菱UFJ銀行と系列の証券2社を処分するよう金融庁に勧告した。三菱UFJ銀の代表取締役(当時)が専務執行役員(同)から「企業の役員が情報共有を認めている」という趣旨の報告を受け、十分に確認しないままうのみにしたと指摘。役員は情報共有を認めていなかった。違法に共有された情報は10件に上った。
 証券2社は三菱UFJモルガン・スタンレー証券とモルガン・スタンレーMUFG証券。監視委は違法な情報共有の背景について「銀行、証券会社の連携を推進するにあたり、法令順守の意識が希薄だった」と指摘した。金融庁は業務改善命令などの処分を検討する。三菱UFJフィナンシャル・グループは「関係者にご迷惑や心配をかけていることをおわびする」とのコメントを出した。
 監視委は2021~23年に顧客企業9社に関する計10件の情報を違法に共有したと認定。(1)三菱UFJ銀が顧客企業の株式売却に際し系列証券会社を主幹事にするため、企業側が非公開情報を共有しないよう何度も伝えたにもかかわらず、売却の時期や金額などの情報を共有(2)顧客企業の社債発行に際し、系列証券会社を主幹事にするよう繰り返し交渉(3)系列証券会社との取引を融資の条件にする―などの違反行為があったという。
 違法に共有された情報に基づき、行員が配偶者名義の口座を使って有価証券の取引をしたケースもあった。取引の回数は約5千回、総額は約20億円に及んだという。
 同様の情報共有は22年に三井住友フィナンシャルグループでも発覚。金融庁は、三菱UFJ銀が他社の不祥事を把握しながら違反行為を続けていた点も踏まえて処分を決めるとみられる。