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実質賃金 最長26カ月減 5月、賃上げも物価高騰


実質賃金 最長26カ月減 5月、賃上げも物価高騰 実質賃金の増減率の推移
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 厚生労働省が8日公表した5月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、物価変動を考慮した1人当たりの実質賃金は前年同月から1・4%減った。マイナスは26カ月連続で過去最長を更新。大企業で賃上げが相次いだ今春闘を受け、基本給を中心とする所定内給与は31年4カ月ぶりの上げ幅となったが、物価高騰に追い付かず、4月の1・2%減(確報)より落ち込んだ。
 厚労省は、今後も賃上げ効果で名目賃金に当たる現金給与総額は伸びるとみているが、担当者は「物価上昇が落ち着かないと実質賃金のプラス転換は難しい」との見方を示した。
 5月の現金給与総額は1・9%増の29万7151円で29カ月連続のプラス。うち所定内給与は2・5%プラスで1993年1月以来の上げ幅。一方、統計に用いる消費者物価指数は3・3%上昇。差し引きした実質賃金はマイナスだった。
 現金給与総額の内訳は、所定内給与が26万3539円。残業代などの所定外給与は2・3%増の1万9441円だった。主にボーナスが占める「特別に支払われた給与」は8・5%減の1万4171円だった。
 総額を主要産業別に見ると、最も増えたのは建設業の7・2%で、運輸・郵便業5・7%、情報通信業4・8%と続いた。減少したのは複合サービス事業の6・3%、鉱業・採石業の3・7%など。