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国債減額へ意見交換 日銀 金融機関、要望幅広く


国債減額へ意見交換 日銀 金融機関、要望幅広く 日銀の国債保有比率と金融機関の主な意見
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 日銀は9日、国債購入額の減額に向けた計画を策定する一環として、債券市場で取引する銀行や証券会社と意見交換した。「相応の規模」(植田和男総裁)とされる減額幅やペースを巡り、金融機関側は幅広い内容を要望。日銀は今月末の金融政策決定会合で、今後1~2年程度を対象とした具体策を示す見通しだ。
 市場への影響を見極め、金融政策の正常化を円滑に進める狙いがある。意見交換に先立ち、日銀は9日、金融機関向けに実施したアンケート結果も公表。購入額について「海外の中央銀行の事例を踏まえ、月間2兆~3兆円程度までの減額が望ましい」、「国内銀行の債券購入ニーズは限定的で、4兆円程度が適当」との意見が寄せられた。
 減額のペースでは「2年程度かけて段階的かつ予見可能な形で減額を行うべき」との要望や、「当初大きく減額した後、緩やかな段階的減額を行うべき」との声が出た。
 日銀の国債保有額は3月末時点で約589兆円と、国の発行残高の約56%を占める。現在も月間6兆円程度を購入し、市場への影響が極めて大きい。一方、日銀が保有する国債の償還額は購入額と同水準の月額6兆円程度のため、毎月の購入額を減らせば、満期を迎えた分の償還に伴って保有額は減少する。
 BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは、日銀が一定のペースで減額し「2年後に購入を月間3兆円にする」とみる。みずほ証券の丹治倫敦チーフ債券ストラテジストは「月間3兆円以下に減らすことは難しい」と分析。日銀に代わって国債の保有量を増やしていくと、銀行側に許容範囲を超える金利上昇リスクが生じるためだ。