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小学校高学年、1日6こまは多すぎ 週6日の90年代と現在を比較 現職・退職教員 意識調査


小学校高学年、1日6こまは多すぎ 週6日の90年代と現在を比較 現職・退職教員 意識調査 子どもの学習が充実しないと回答した教員の割合
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 小学校高学年の授業数について、週6日制の1990年代と、週5日制で1日6こまが一般的になった現在の双方を知るベテラン教員に尋ねたところ、77%が週当たりの総数は同じでも現在の方が「子どもの学習が充実しない」と考えているとの調査結果を東京学芸大の大森直樹教授(教育史)が18日、公表した。大森教授は「授業数が多すぎて子どもの生活や学習に合っていない」と述べ、削減が必要だと説明した。
 標準の授業数は学習指導要領改定に合わせ、約10年ごとに見直す。小学校6年間の総数は80年度~2001年度が5785こまで、02年度に減ったが「ゆとり教育」批判で増加し、現在は5785こまに戻った。90年代ごろと比べると、総数は同じでも週休2日が原則になったため、高学年で連日6こまが当たり前の状況だ。
 調査は、授業数が「子どもの生活に合っていたか」と「子どもの学習は充実していたか」を尋ねた。「高学年でおおむね週に6日間、29こまの授業」(92年度~01年度)と、「高学年でおおむね週に5日間、29こまの授業」(現在)の両方を知る教員487人の回答を中心に分析した。
 90年代の授業数が「生活に合わない」は23%にとどまったが、現在の授業数では90%に上った。「学習が充実しない」も90年代は9%で、現在の77%と差がついた。
 現在の授業数しか経験していない若手教員ら248人の回答では「生活に合わない」44%、「学習が充実しない」28%となり、現状を肯定的に捉える傾向だった。
 自由記述では「不登校の増加もゆとりが減ったことに関係があるのではないか」「放課後の時間を増やすことが、子どもの自主性や協調性を育む」などの意見があった。
 大森教授は「子どもの時間は有限」と指摘し、適切な授業数を再検討した上で指導要領を見直すべきだと主張した。
 調査は昨年、教育文化総合研究所(東京)と協力して実施し、現役と退職した公立小の教員計2445人が回答した。