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「不読率」改善の成果発表/高校生リーダー研修/8校の29人参加


「不読率」改善の成果発表/高校生リーダー研修/8校の29人参加 高校生読書リーダー育成研修に参加した県内8校の高校生ら=1月22日、那覇市の県立図書館
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 那覇市の県立図書館で1月22日、「2023年度高校生読書リーダー育成研修」最終報告会が開かれた。県内8校の高校生29人が、月に1冊も本を読まない生徒の割合を示す「不読率」の改善を目指して各学校で取り組んできたことを発表した。本の紹介動画を作成したり、図書館でイベントを開催して来館者を増やしたりするなど、さまざまな取り組みがあった。
 県教育委員会生涯学習振興課の主催。2回目の開催で、23年度の研修は昨年8月にスタートした。これまで県立図書館で図書館の役割について学んだり、ジュンク堂書店那覇店で本への興味を引き出すポップの作り方などを学んだりしてきた。生徒たちは学んだことを生かし、各学校の読書率の低さの原因や背景を調査しながら改善策を模索してきた。
 那覇高の生徒たちは、生徒たちのホームルームクラスがある棟と図書館がある棟が遠いことが課題の一つと分析した。普段使用されていない外階段を使えば図書館に行きやすくなると予想し、一定期間、外階段を使用できるようにしたところ来館者が増加した。
 開邦高では本を返却しやすいように返却ボックスを増設したが、逆に延滞が増えてしまったため他の方法を模索している。
 美里工業は動画編集できる生徒に頼んで本の紹介動画を作り、図書館内で流すなどした。名護商工は図書館内でプラネタリウムを開催して来館者を増やし、星に関する本の特設コーナーを設けた。
 辺土名高2年の田島麗奈さんは「本を共有することの楽しさを知った」、美里工業2年の安里優佑さんは「いろんな図書館を巡り、図書館や本への視野が広がった」と話した。県教委の知念秀明さんは「分析し、取り組んだことの検証までできている。失敗を受け止め、だから次はこうしようと考える力も素晴らしい」と拍手を送った。生徒たちには研修後、修了証が贈られた。 (嘉数陽)
 不読率 1カ月に1冊も本を読まない児童生徒の割合。全国学校図書館協議会が2023年6月に実施した調査によると、全国の高校生の不読率は43.5%だった(同年5月の読書冊数が調査対象)。沖縄県教育委員会の22年調査では、県内高校生の不読率は40%だった(同年1月の読書冊数が調査対象)。